ホーム > 学会案内 > 会長挨拶

学会案内|会長挨拶

雑草研究と日本雑草学会

佐合 隆一

日本雑草学会は1962年に日本雑草防除研究会として発足して、本年度は50周年にあたります。学会発足時には農業生産上の害となる「農耕地雑草」の防除を念頭においた研究による農業技術発展への寄与が目的でありました。これまでの会員各位のご努力により、雑草のみを選択的に防除することができる画期的除草剤が開発され、その安全性面において、人畜は言うまでもなく、環境生物に対するリスクもほとんどないものが利用されています。また、遺伝子工学的手法を利用して「除草剤耐性遺伝子を導入した作物」を用いる雑草防除は、この分野における人類史上最初の技術開発であり、科学史上においても特筆されるべき成果であります。一方、雑草そのものについての研究も深化し、人類が農耕を始めて以来約1万年の間、排除し続けてきた雑草が存続し続ける機構が、生理生態学的に解明されて来ました。

また、わが雑草学会は、雑草を研究対象として自由な交流を求める研究集団であり、その活動は、わが国にとどまらず、アジア太平洋地域の研究者交流へ進展し、わが学会の英文誌(Weed Biology and Management)もインパクトファクターがついた国際誌として、ゆるぎない地位を確保することができました。

さらに、近年農耕地を含めた生態系の保全をいかに進めるかが関心事となってきました。わが学会員が対象とする研究領域が、農業分野に限らず、生活や環境にかかわる「さまざまな草=雑草」にまで拡大してきており、雑草管理は、単に「刈払う」「枯らす」「耕す」という管理から、「小型で花のきれいな草種が優占化する植生」「裸地化しない緑地保全」「外来雑草の繁茂を阻止し、在来種を保全した植生」「種の多様性が維持できる植生」などを実現する新たな管理方法の開発が進められています。同時に、新たな作用点を持つ選択性除草剤開発の必要性がますます高まってきており、その緊要度も高まってきました。わが国の雑草防除研究者が、世界に通用する剤の開発に向けて不断の努力をすることにより、こうした剤の開発も実現できるものと確信しています。

このように将来を見据えた課題が山積する中で会員の活躍する場面は広範囲に拡大しつつあり、他分野との研究交流の重要性が一層増してきました。雑草を共通の基盤として、さまざまな分野の方々が集いやすい場にするとともに、学会の講演会やシンポジウムが情報交換の場として有益な会にするために、その在り方についても年々工夫してきています。本HPをご覧になって、雑草に興味がある方は、ぜひ積極的に参加していただきたいと思います。また、会員の方々は、雑草学会が有益な情報交換の場として、「学会としての公益性を保持しつつ、会員の利益を最大化できる」ように、お互いに盛りたてていただきますようにお願いいたします。

学会案内

このページの先頭へ