会長挨拶
会員の皆さまへ
2026年4月16日
この度一般社団法人日本雑草学会の会長を拝命いたしました京都大学大学院農学研究科の黒川俊二です。日本雑草学会は前身の日本雑草防除研究会が設立された1962年から64年、日本雑草学会となった1975年から51年、さらに一般社団法人となった2019年から7年が経過しました。長い歴史を持つ日本雑草学会の会長に就任することは、私にとって非常に重責を感じております。
日本雑草学会は科学としての雑草学を牽引してきた重要な学会です。本会で蓄積されてきた様々な科学的知見は、これまで農業現場のみならず人間社会の中の様々な場面における雑草問題の解決を通じて社会に貢献してきました。一方、近年の学会運営の面では、学会員数の減少、科研費の不採択が続く中での財政的問題など、持続的な学会運営を図る上での問題も山積しております。
会員数の減少の1つの要因として、学術分野としての雑草学の認知度の低さがあります。これを受けて小荒井前会長あるいは小林前々会長の執行部において、いかに雑草学会の認知度を上げるかを検討し、広報活動も積極的に進められてきたところです。まだ認知度が低いですが公式Xのアカウントも開設されました。また前期に設定された事業検討委員会での議論をもとに、和文誌の完全オンライン化の方針が策定され、財政上の問題解決に向けた取り組みも進められてきたところです。
今期はこれらの方針を踏襲し、2027年度からの和文誌「雑草研究」の完全オンライン化を着実に進めるとともに、さらなる雑草学会の発展に取り組むべく、用語委員会を広報委員会として改名し、より広報の強化を図る方針です。一方で、広報の強化による認知度を上げる取り組みだけでは会員数の増加にはつながらないと考えています。雑草学の科学としての魅力を発信してこそ、その魅力に取り憑かれた関連の研究者たちを取り込むことが可能になると考えています。私が最も重要視しているのは、学会活動の基本である年次大会と「雑草研究」および「Weed Biology and Management (WBM)」の2つのジャーナルです。
人間活動に巧みに適応進化してきた植物群である雑草は非常に興味深い研究対象です。雑草を研究すればその背景にある人の営みが見えてきます。これから人がどう生きるべきかの道標にもなると思います。こうした雑草学の魅力を発信する手段として、年次大会と雑草研究およびWBMの2つのジャーナルがあります。ここにいかに最新の雑草学の魅力が詰まった知見が集まるか、活発な議論が行われるかが今後の学会の発展のカギとなると思います。会員の皆様におかれましては、大会での魅力的な発表、活発な議論を引き続きお願いしますとともに、国内向けの有用な技術に関わる論文・報告を「雑草研究」に、世界に発信するべき重要な研究成果を「WBM」に積極的な投稿をお願いいたします。
まず年次大会についてですが、開催校の関係者の皆さまには多大なご負担をおかけしております。私としては、開催校だけに負担が集中することがないように、ぜひ地域ブロック全体で大会を支えていただきたいと考えております。各地域ブロックの代議員の皆さまには何卒ご協力の方よろしくお願い申し上げます。
和文誌「雑草研究」についてですが、地域の雑草問題や様々な現場での防除技術など、国内の最新の雑草情報が集まる貴重なデータベースとなるよう強化を図りたいと考えております。そのため今期では、県職員としての経験から地域の技術情報の重要性を認識され、現在の大学教員としての立場から科学的知見の重要性を認識されている市原実氏に編集委員長をお願いしました。市原編集委員長を中心に、様々なニーズに応えられるような雑誌となるよう発展させていていきたいと考えております。会員の皆さまには、身近な雑草問題や公開して良い技術情報を積極的に投稿していただくとともに、「雑草研究」に掲載して欲しい現場で必要な情報について、ぜひご要望を執行部までお寄せください。
日本雑草学会の国際的なプレゼンスの向上も重要な課題です。国際雑草学会(IWSS)、アジア太平洋雑草学会(APWSS)にも積極的に貢献していきたいと考えております。その中において、英文誌「WBM」は、北米を中心とした「Weed Science」、「Weed Technology」、ヨーロッパを中心とした「Weed Research」とともに、アジア太平洋地域の国際誌として重要な役割を持ちます。2027年にダナン(ベトナム)で開催されるアジア太平洋雑草学会や開催地が未定となっていますが国際雑草学会などでも積極的に「WBM」の重要性をアピールして参りたいと思います。
私ども執行部一同、皆さまの研究活動を支えるための環境づくりに尽力したいと思います。なお、学会活動は会員の皆さま全員のご協力が欠かせません。ぜひ雑草学の魅力的な研究成果を出していただき、学会活動の場での積極的な議論と情報発信をお願いいたします。代議員の皆様におかれましては、会員の代表として、地域ブロックの代表として、学会運営を支えていただき、雑草学の魅力を発信するため、日本雑草学会のさらなる発展にご協力をお願いいたします。
2年間、どうぞよろしくお願いいたします。
一般社団法人 日本雑草学会
代表理事・会長 黒川俊二


